移動平均線やMACDはもっとも代表的でシンプルなインジケーター(オシレーター)です。
シンプルで多くの人が意識するインジケーターを深く研究することが、インジケーターやオシレーターを研究する際に重要なことです。
ここでは移動平均線20日(中期)と移動平均線75日(長期)を使用した「移動平均線のクロスオーバー」について考察します。
具体的には、実体線と中期移動平均線と長期移動平均線のゴールデンクロス(デッドクロス)を利用し、実体線>中期移動平均>長期移動平均の並びになったときに買い持ち参入(売り持ちは並びが逆のとき)を行い、その並びが崩れたら退出するというルールです。
※ドル円・ユーロ円・ユーロドル2007/7/13-2017/3/13(参入期間:4627日)
※縦軸は累積PIPS
王道のトレンドフォローですが、きちんと右肩上がりの損益曲線となりました。
買いと売りの参入合計日数で4627日の検証なので、過剰最適化も免れていると思います。
しかし、実用できるかというと、期間中の合計収益が約10年間3通貨ペアで「8775 PIPS」、
1日あたりの平均収益に換算すると、買いで「1.1 PIPS」、売りで「2.6 PIPS」とあんまり魅力のない結果とも言えます。
長期的に保有する(場合によっては数ヶ月間)目的であれば、有効な手法なのではないでしょうか。
ちなみにパラメーターを変更して数通り試しましたが、特によい結果は得られませんでした。
中期25日・長期75日や中期25日・長期100日など、色々とパラメーターをいじっても、ほぼ同じような結果となります。
余談ですが、あんまり細かいパラメーター設定はある特定期間の収益を含み、ある特定期間の損失を除外してしまうので検証していません。
たとえば、中期12日・長期43日のように細かく日数をいじって意図的な最適化を行うものは、長期的な再現性を失わせてしまうからです。
ついでに移動平均線の親戚「MACD」のクロスオーバーも検証しました。
日足の標準パラメーター(
結果はあまり良くなく「合計15940日間の保有」で「1日平均収益はプラス0.4PIPS」となりました。
(累積損益グラフをつくるのもめんどうな結果となりました・・・)
ゴールデンクロス・デッドクロス後の1日だけ保有というのも検証してみましたが、結果はいっそう悪くなり「合計1250日」「1日平均収益はマイナス0.6PIPS」となりました。
他にも「MACDのゼロライン越え」や「ゼロライン上方でのゴールデンクロス(ゼロライン下方でのデッドクロス)」なども検証しましたが、大きな収益改善にはつながりませんでした・・・。
タートルルールA・・・20日間の高値(安値)で参入/10日間の安値(高値)を切ったら退出
タートルルールB・・・60日間の高値(安値)で参入/20日間の安値(高値)を切ったら退出
これは非常に時間をかけて検証を行いました。
よい検証結果は「ルールBの60日高値(安値)での参入/5日間で退出(時限退出)」となりました。
5日間の平均の値幅を計測し、ストップをその値幅のところに入れて退出してもほぼ同等の結果が得られます。
10日間の安値や20日間の安値を退出ラインに使用すると、やはりドローダウンが大きくなり、資金効率も悪くなります。
また、ブレイクアウトからの保有期間別に5日・10日・20日・30日・50日の結果も検証しましたが、1日あたりの収益は保有期間を長くすればするほど、低下してしまう結果となりました。
おそらく、インターネットで安い手数料・スプレッドが当たり前になってしまったため、長期のトレンドが発生しにくくなったのではないかと推測します。
あと、これは検証の過程で気づいたことなのですが1日の値幅がせいぜい1%前後の為替では60日以上の期間をみたほうがよい結果となります。
(ポンドがらみは20~30日で大丈夫でした。ボラティリティが一気に上がってレンジを突破しやすいからでしょうか)
エネルギーや穀物、ビットコインなど、1日の平均値幅が2%以上あるものは60日よりも20日のほうが広い範囲で優位性が見られます。
値幅が大きいもののほうがレジスタンスライン(抵抗線)・サポートライン(支持線)の形成がはやい、つまりレンジブレイクのタイミングもはやい、ということなのでしょう。
※ドル円・ユーロ円・ユーロドル2007/8/6-2017/4/6(参入回数349回/保有日数:1745日)
※縦軸は累積PIPS
合計収益が「10813 PIPS」と移動平均線のクロスオーバーシステムより、高い収益性となりました。
保有日数も移動平均線のクロスオーバーより少なく、1日あたりの収益も「6.2 PIPS」と良い結果になりました。
期間中に大幅なドローダウンもなく、実用に耐えられそうなのですが、2008年~2012年に収益が「横ばい」の期間があり、安定的に毎年利益を出すことは難しそうです。
移動平均線のフィルターを数種類組み合わせて検証も行いましたが、収益の改善は限定的で、移動平均線と組み合わせる意味もあまりないという結論となりました。
ここでは1日の平均レンジ(値幅)を利用した「ボラティリティブレイクアウト」の検証結果を挙げてみたいと思います。
検証対象は「ドル円」「ユーロ円」「ユーロドル」と固定しているので、その3つの通貨ペアの1日の平均レンジ、おおよそ100PIPSをブレイクアウトした価格で参入を行うルールとしました。
100PIPS以上の上昇で買い持ち参入・100PIPS以上の下落で売り持ち参入とし、当日の引けで退出とします。
※ドル円・ユーロ円・ユーロドル2007/5/7-2017/5/7(試行回数:2852回)
※縦軸は累積PIPS
今までに紹介した手法のなかではもっとも安定した損益曲線に見えるシステムです。
10年間の合計収益は「9577 PIPS」で、1回あたりの収益は「3.2 PIPS」と移動平均線のクロスオーバーシステムよりはよく、ブレイクアウトシステムよりは悪い結果となりました。
ただ、移動平均線のクロスオーバーやブレイクアウトシステムが検証期間の前半に大きな利益を出して、後半に失速しているのに対して、ボラティリティブレイクアウトは安定した右肩上がりの収益曲線となっています。
今まで紹介した手法のなかでは、現実的に一番つかえそうに見えるのですが、いかがでしょうか・・・。
ボリンジャーバンドは「逆張り」用のオシレーターとして認知されています。
しかし、FXを含む先物トレードでは「高いものはより高くなる」「安いものはより安くなる」という特徴があるので、個人的には安易にボリンジャーバンドを使って逆張りをすべきではないと思います。
そんなわけで、ボリンジャーバンド(パラメータ設定20・2σ・3σ)を「ブレイクアウト」したときに順張りで売買したらどうなるかを検証してみました。
※ドル円・ユーロ円・ユーロドル1997/5/9-2017/5/9
(2σブレイク試行回数:3113回/3σブレイク試行回数856回)※縦軸は累積PIPS
2σ・3σともに逆張りではなく「順張りのブレイクアウトで仕掛ける」ほうが優位性が見られる結果となりました。
ただ、実用にくみするかといえば、1回の平均収益が2~3PIPSといったところなので、あんまり期待もできなさそうですね・・・。
陽線が出た翌日は陰線が出やすい、陰線が出た翌日は陽線が出やすい・・・、そんな簡単なことだったらみんな簡単に億万長者になれてしまいますよね。
実際に、陽線や陰線の出現比率からトレードに優位性を見出すことは、ほとんど不可能です。
ですが、チャートをずっと眺めていると陽線がずっと続く期間があったり、陰線がずっと続く期間があることも事実です。
そこで、陽線(陰線)がX日以上連続したあとに、買ったら(売ったら)どうなるのでしょうか?
4連続以上の陽線(陰線)の翌日に買う(売る)とやや優位性が見られる結果となりました。
1日あたりの平均収益が、陽線(陰線)6連続以上出現でもっとも高くなっていますが、試行回数が少なく、あまり日常的に使えるシステムではなさそうです。
目視でチャートを見たときに「おや、ずいぶんと陽線が続いているなあ」と感じたときは逆張りではなく、素直に買ったほうがよいらしいですね。
ゴトー日はドル不足の金融機関・機関投資家がドルを買うので、ドル円相場が上がりやすい、というハナシがありますが、これって本当なのでしょうか。
私には「雨の日は日経平均が下がる」とか「土星の位置が銀相場を暗示する」「牛が北に進むと小麦相場が上がる」みたいなことに似ているようにも思えるのですが・・・。
とりあえず、検証をしてみました。
トータルの平均収益が「0.1 PIPS」なので、そのままだとまったくつかえませんね・・・。
5日は買いが有利で、25日は売りが有利そうなのですが、これさえも試行回数が少ないため過剰最適化されていると思います。
勇気のある方は、5日に買って、25日に売ってみてはいかがでしょうか?
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